〜ライブレポート〜





<黒沢薫 First Tour“Love Anthem”> 2005年10月28日 なんばHatch





会場のロビーには他のゴスペラーズメンバーからの花が。
華やかな安岡さん、赤が基調のリーダーはなんとなく個性が表れているような。
酒井さんがピンク主体で意外に華やかだったことと、北山さんが白っぽくて清楚だったのが
なんとなく意外でした。
※↑一部失礼な表現があります。お詫びしますが訂正はしません(?)

開場後、しばらくして謎の人物がステージ上に登場します。
誰だ?と思いきや、どうやら振付師の森上英樹氏の様子。
まだ席についていない人やうろうろしている人が大勢いる中、客を煽って
これまた謎のダンスを伝授。
なかなかに難しく、長いダンスをしばらく教えておりました。
やがて退場。前座にしては謎です…。



会場の照明が落とされます。
バンドメンバーが登場し、歌い始めます。
黒沢さんの曲ではないみたい。
ですが…よくよく聴くと、ときどき入る歌詞が「黒ぽん」??
黒沢薫のテーマ曲として特別に作られた曲でしょうか?
歌に誘われて、お待ちかねの黒沢さんが登場!
黒っぽいスーツに茶系のシャツ。サングラスをかけています。
ゴスペラーズではなく、黒沢さんのファーストツアー。観客大興奮です。

♪Windy Love
 アルバム一曲目、ライブのオープニングにふさわしい曲です。
 とっても爽やか。黒沢さんの声も絶好調のご様子。
 「皆さんこんばんは! 黒沢薫です。
  黒沢薫 First Tour“Love Anthem”にようこそお越しくださいました!」
 会場大歓声。総立ちで曲に乗っています。

「こんばんは。黒沢薫です」
会場大歓声、拍手。
「黒沢薫 First Tour“Love Anthem”にようこそお越しくださし(?)ました」
会場笑。
「ようこそお越しくださいました(笑) …ようこそお越しくださいました」
笑いながら何度もやり直しする黒沢さん。
「一曲目から皆さんいい感じですね。嬉しくなって最初から噛んじゃいました(笑)」
しかし華やかなゴスペラーズライブとはまた違った雰囲気なので、
戸惑っている方も若干見られたようです。
「リラックスして見てくださいね」というお言葉。
そしてここで一つだけ黒沢さんからのお願い。
「携帯の電源は切ってください」
そこへタイミングよく、携帯の着信音が。
「マナーモードでも結構、バイブの音がしたりするので…」
携帯を確かめる客多数。
しかし例の着信音は止みません。こういうときはお約束…
黒沢「あ、俺だ!」
観客笑。
黒沢「あ、大事な電話なんだけど、出てもいいかな?」
客「えーっ!?」
このあたりの客の反応がいかにも大阪でしょうか。
構わず電話を見る黒沢さん。
ステージの照明が徐々に落とされ、電話の音が高くなります。
あ、なるほど。こうやって次の曲に入るのですね。

♪電話のむこう
 携帯を左耳に当てたまま熱唱。
 「電話切るたび」で携帯をたたむなど、効果的に使っていました。
 最後の方のフェイクはやはり黒沢薫真骨頂。
 彼のソウルが胸に迫ります。
曲の終わりにはちゃんと電話に出て
黒沢「あ、もしもし?黒沢です。久しぶり。
   こないだ話したお店なんだけど、予約取れそうなんだ。今度…」
 ぷちっ。…ツー、ツー、ツー、…。
黒沢「あ、切れちゃった…」
まあ、これもお約束かな?
自分からかけておきながら切るとは失礼な人だ、というツッコミはこの際置いておきましょう。

黒沢「今、何してる?
   逢いたい。
   そう言って、君を失うのが怖いんだ。
   君のことを考えると、おかしくなりそうだ…」

♪Crazy for you 〜ISSAへの提供曲(03年)
 筆者的に大絶賛の一曲です。
 黒沢さん入魂の大熱唱。原曲以上に熱く、力強く歌い上げます。
 気迫が観客にガンガン伝わってきました。
 
「知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、『Crazy for you』は僕がDA PUMPの
 ISSAくんのために書き下ろしたものです」
この説明に「へえ〜」と感心の声がかなり上がっていました。
「僕が大好きな曲なので歌ってみました。いかがでしたか?」
会場は大喝采。
喜んだ黒沢さんはサングラスを外します。会場からは黄色い歓声が上がりました。
「じゃあ、もう一曲カヴァーを。
 これは僕が敬愛する大先輩に…(と言いながらまたサングラスをかける。会場笑)
 書いた曲です」

♪これから 〜鈴木雅之への提供曲(04年)
 お馴染みの曲なので喜んでいる人多数。
 歌い方は黒沢薫なのですが(詳細後述)大先輩の原曲と聴き比べても
 遜色も違和感もありません。さすがです。
 最後の「光り輝く〜♪」のハイトーンが聴けなかったのは残念ですが、
 それ以上に、この曲のセルフカヴァーが聴けることが貴重。

「この曲はですね、『何か書いてよ』(マーチンさんの真似)って言われて
 スタジオで一人書いてたんですが、僕の頭の中ではマーチンさんがすぐそこに
 いるようなイメージがですね、ソファーにどかっと座っているようなイメージが
 勝手にできてしまいまして(笑)
 それでデモテープを作るときに、本当にマーチンさんが歌っているように
 (以下、マーチン風に)
 『このま〜ま〜じゃぁ〜』『これからぁ〜〜』」
鈴木雅之さんの物真似に会場は大爆笑。
「そういう歌い方で作って渡してしまいまして(笑)
 これ、相当ヤバイですよ。下手したら怒られます。
 でもマーチンさんはですね、『フフン♪』(物真似)と笑ってました(笑)
 僕の歌い方がマーチンさんと似ているのか、マーチンさんが僕と似ているのか、
 この曲に関してはわかりません!(笑)」

そこにレストランのウエイター風の森上氏が椅子を持って登場。
「ああ、ありがとうございます。椅子が出てきましたので座って」
総立ちの客席も座ります。
そこで突然気づいたのか、「ああ、サングラスかけたままだったんだ」と外します。
「いや、なんか暗いなーと思って。今日は照明こんなだったのかなー?とか(笑)」
バンドメンバーは舞台袖に下がり、ステージに残っているのは黒沢さんと
キーボードの松本圭司さん。
そして銀の盆を持っておしぼりやら何やらを持ってくる森上氏のみ。
水を持ってきたのはいいのですが「遠いよ(笑)」と黒沢さんにツッこまれていました。
空の盆を黒沢さんに向けたと思ったら…ああ、身だしなみタイムですか?
盆に映る自分の姿を見て髪型や服装を正す黒沢さん。会場の笑いを誘います。
まだ何やらステージ上にいたそうな森上氏に黒沢さんは「カレー」。
注文? これまた会場笑。

ゴスペラーズは現在五ヶ月の休養中。
それを活用してソロデビューした黒沢さん。
他に何をしていたのかと言いますと、といって腰につけたウォレットチェーンを
観客席に見せます。
「別注大陸っていう企画で、僕が衣装とかでお世話になっている
 バセットウォーカーというお店とコラボレーションしましてですね、
 こういうウォレットチェーンを企画したりですね。
 あと、今回のツアーグッズを開発したりしました」
“開発”という言葉で客席から笑いが漏れます。
「“開発”で合ってるんだよ? 他にないんだから(笑)」
ちなみに遠目から見たウォレットチェーンはとても栄えていました。
黒沢さんによく似合います。
「ゴスペラーズでもツアーグッズの監修はやってるんですけど、
 今回のは美術部部長(高校時代の話ですね)の腕を生かしてですね(笑)
 自分で『こういうの』ってさらさらっと書いてデザインしました。
 …そんなに大した絵じゃないですけどね(笑)」
そう話しながら小指を触っていましたので、どうやら自分がデザインした
ピンキーリングを身につけていた様子。
「グッズはね、カレースプーンと指輪は売り切れたらしいです」
他の会場でも売り切れたとか。なかなかの人気です。
「あのー、売り切れちゃった物も、通販とかで買えるようにします。
 こんなに気に入ってもらえると思ってなかったからさ(笑)
 今回の会場はこれぐらいだし、このぐらいの数でいいかなーって思ってて。
 また買えるようにしますからね。
 なんかね、カレースプーンは5個とか8個とか一遍に買ってった人もいるんだって。
 カレー屋さんでもするんでしょうかね?」
会場爆笑。
「まだハンドタオルとTシャツはあるそうです。
 カレーを食べたとき汗を拭くタオル。…別に手を洗ったときでもいいですけど(笑)」
やはりカレーからは離れられないのでしょうか?このお方は。
「Tシャツはいいですよ?
 『黒沢薫』って書いてませんので(笑)着やすいと思います」
観客大笑いでした。
グッズの話はこのあたりで終了。
さて、東京、名古屋とツアーで回ってきたのですが、大阪の会場がいちばん広いのだとか。
「今日は男の人も結構いますね」
意外にゴスライブよりも男性の割合が多いような印象を受けました。
広いとその分空気感が掴みにくいのだとか。
「二階のお客さん、大丈夫?」 二階席、歓声。
「立見のお客さんは?」 立見、歓声。
「男の人の声が聴こえないなあ。男の人!」 男性の歓声…遠慮がち。
黒沢さんもちょっとコケていました。

ここで森上氏が注文どおりカレーを持って登場。
…ではなくて、手にしていたのは「ぽんカレー」。松本さんと黒沢さんに手渡します。
まだなんとなくステージ上にいたそうな森上氏。
黒沢さんがひとこと。「帰れよ」 会場爆笑。
淋しげに?森上氏は去っていきました。

そう、オフの間に黒沢さんはこの本も書いていましたね。
持ってる人?という問いかけに、手を挙げた人多数。
「あ、意外にみんな持ってるんだね(笑)」
後ろで松本さんが本を広げ、黒沢さんの写真が大写しされた部分を客席に見せます。
黄色い歓声。
「最初っから僕の写真が載ってますが(笑)
 全国のカレー屋さんの紹介とか、レシピとか載せています。
 大阪はねー、残念ながらお店を紹介できてないんですが」
客席から「ええーっ!」というブーイング。さすが大阪…。
「大阪は、行きたいお店に何軒か行けてないんですよ。
 また次の機会、第2弾とか出すときには載せますからね(笑)」
以前からカレーが好きだった黒沢さんですが、ハマったのは2002年のゴスツアーから。
当時ゴスペラーズのバンドメンバーとして同行していた松本さんと話していて、
お互いに「こんなにカレーの好きな人がいたとは!」と意気投合して「カレー部」を
結成したのがきっかけ。
「そこから全国のカレー屋さんに食べに行きまして。
 この本、一人でこれだけ食べに行ったみたいに見えますけど、実際は松本くんと
 二人で行ったところが多いです。
 彼のおかげです。ありがとう(笑)」
実はこの本、CDよりも販売数が多いとかいう話もあるそうです…。
「じゃあ俺はCD出さなくても、この本だけ出せばよかったのか?とか(笑)」
駄目ですよー、黒沢さんっ!
「まあ、本屋さんで、気に入っていただければ買っていただけると嬉しいです。
 なんかね、タレント本のところじゃなくて料理本のところに置いてあるそうですよ」
へーっ、という感心の声が観客席から漏れます。
「ああ、気に入ってくれている人もいますね」
と黒沢さんが振り返った先には、読みふけっている松本さん。
その松本さん、本を指差して黒沢さんに手を出します。
「ん?」
えーと、これは「僕のおかげもあるんだから分け前よこせ」ということですか?
会場笑。
「ああ、じゃあ後でね、手のひらいっぱいの…スパイスをあげます(笑)
 スパイスって貴重だったんだよ?
 昔はお金の代わりに使われたこともあるんだから。皆さんご存知でした?
 …まあ、別に知らなくてもいいですね(笑)」
やはりカレー話になると脱線するのですね、このお方は…。

「さて、あまりにカレーが好きすぎてですね、僕らはカレー屋さんの名前のついた
 曲を作ってしまいました。
 『アンジュナ』という曲なんですが」
ああーっ。観客歓声。
「あんまりカレーっぽくないんですけど、
 『思い出が香る』というあたりに『スパイスが香っている』と思っていただくと
 いいと思います(笑)
 今言ったことは全部忘れて!(笑)聴いてください。
 松本圭司作曲、黒沢薫作詞。『アンジュナ』」

♪アンジュナ 〜ゴスペラーズの曲のソロカヴァー(04年)
 松本さんのピアノとのコラボレーション。
 ゴスペラーズで歌っているときよりも哀愁があふれています。
 ピアノソロ部分も多く、それがまた哀しい。
 歌い継ぎのゴスペラーズアレンジとはまた違った雰囲気に仕上がっていました。
♪Ribbon in the Sky
 そのままの流れでこの曲に。
 圧巻はやはり最後の超ハイテナー。
 難なくクリアするあたり、やはり10年の準備期間を経て(??)デビューした
 新人歌手の貫禄がありました。

シングルカップリング曲である、この「Ribbon In The Sky」はスティービー・ワンダーの
カヴァー曲ですね。
「敬愛するスティービーの曲ですから、ずっと歌いたいと思っていたんです。
 歌いたい! まだダメだ! もうそろそろ! いやダメだ!というのが
 デビューした頃からずっとありまして。よし、今だ!と。
 歌ってみて、我ながら上手く歌えたと思う部分と、やっぱりスティービーには敵わないなと
 思う部分とがありますね。
 この曲は、僕からスティービーへのラブレターみたいなものです。
 で、その返事といいますか…スティービーが久々に新譜を出したんですが、
 その発売日が10月19日! …。」
黒沢さんのアルバム「Love Anthem」と同日じゃないですか! 会場大笑い。
「それはないだろうと(笑)
 スティービー、それはないだろうと。
 恩を仇で返されたみたいですね。まあ、恩はないんですけどね(笑)
 でも、すごくいいアルバムです。
 僕もさっきまで聴いてたんですけど、すごくいいです。
 聴いてもらうと、僕がスティービーにすごく影響を受けてるのがわかると思います。
 好きなアーティストとかのルーツを知るっていうのもすごく面白いと思いますよ。
 …何で俺がスティービーの宣伝してるんでしょう?(笑)」
会場も一緒に大笑い。
「まあ、CD屋さんに行ったら探してみてくださいね。
 で、まず僕のCDを買って(笑)聴いてみてからスティービーのも手に取ってみてください。
 時間差があるといいですね(笑)」
先に俺のを聴いてくれー。という意味のようです。
会場の笑いに消され気味でしたが、黒沢さんからは「二週間」という時間差指定も
ありました。笑。
「ライブもいいんですよ。スティービーはこうやって歌うんです」
と、マイクを持って左右にゆらゆらしながら歌う真似。
「で、揺れてるからときどきマイクがずれるのね。『ずれてるずれてる!』って(笑)
 それだけ直してくれたらいいんですけどね。
 僕もスティービーみたいに歌いたい! スティービーよ降りてこい!(笑)」

さて、随分しゃべってくれました黒沢さん。
「間が空くとね、ついしゃべっちゃうんですよ。
 グループでやってたせいですかね(笑)」
あのグループでは、間髪いれずにしゃべらないと永遠にしゃべらせてもらえませんからねぇ…。
「ここでもう一人シンガーを呼びたいと思います。ZOOCO!」
バックコーラスをしていたZOOCOさんがステージ上に。
他のバンドメンバーも戻ってきます。
ところでZOOCOさん、半笑いです。
「今日は黒ぽん面白いね。
 さっきから後ろで見ていて『カッコイイな〜』って思ってたんだけど、
 そしたら急にこんなに(ゆらゆら)なってるし(笑)」
「面白いですか? 小動物っぽいですか?(笑)」
見ているだけで人をシアワセ気分にさせるところは確かに小動物っぽい??
ZOOCOさん、スティービーの真似が気に入ったのかまだ笑っています。
「こんなに(ゆらゆら)なってるから、どうやって入ろうかって思った(笑)」
「どうやってって、こうやって(ゆらゆら)入ってきたらいいじゃないですか(笑)」
そして二人でゆらゆら。会場笑。
「今日は何か変なテンション入ってます」
自分で言っちゃう黒沢さんに場内爆笑。
「さっき黒ぽんが『スティービーよ降りてこい!』って言ったときに、
 私の方に降りてきちゃったの(笑)
 スッと来てグッとなって」
「スッと来てグッ!ですね?(笑)」
「スッと来てグッ!(笑)」
ああぁ、ZOOCOさんまで変なテンションに…。
「私のほうに降りちゃったから返しておきますね」
と、ZOOCOさん、スティービーを黒沢さんに返す真似。
「ああ、はい。(と、受け取る真似?)
 って、もらったらまたスティービーの歌に戻っちゃうので、この辺に置いときましょう」
と、スティービーをステージの後ろに置く?黒沢さんでした。

「ここで一曲、カヴァーをやりたいと思うんですよ。
 マーヴィン・ゲイとタミー・テレルの曲。
 ソウル界の巨人ですね。
 巨人って言っても、でっかい人って意味じゃないですよ?」
…。
「…うわあっ! 今日はダメだあ!」
ステージ上も観客も大爆笑。
ZOOCO「黒沢さん、大阪は笑いにシビアなんですから!」
黒沢「うん、だから敷き詰めてみようかと思って」
   数打てばなんとかなるかなと思ってさ(笑)」
そういう問題ではないような気もするのですが、会場はすっかり黒沢さんペースで
大爆笑の渦でした。
では、真面目に歌に。

♪FOR YOUR PRECIOUS LOVE 〜マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのカヴァー
 甘いデュエットというよりは、ともに歌い上げる雰囲気。
 二人の熱い掛け合いが素敵でした。

「この曲、知ってました?」
最近ではディアンジェロとエリカ・バドゥにカヴァーされたとか。
「よく知らないけど迫力あってよかった?(笑)」
黒沢さんの仰るとおり、筆者は音楽に詳しくないのでそのクチでした…。
では、デュエット曲をもう一つ。

♪満天の星の夜
 ZOOCOさんとのデュエットで、CDよりもさらにソウルっぽく仕上がっていたような。
 やはり掛け合いが素敵。
 りみさんとはまた違った存在感のある歌になっていました。

「この曲は、アルバムでは夏川りみちゃんとデュエットしてます。
 りみちゃんと歌ってるときには沖縄の空が浮かんだんですが、
 ZOOCOと歌ってると『都会の空』って感じですね。(ZOOCO「ありがとうございます(笑)」)
 どっちがどうというんじゃなくて、どちらもいいですね。
 同じ曲でも、歌う人によってイメージが変わるというのを感じていただけたと思います」
デュエットタイムはこれで終了です。
「ZOOCOにもう一度大きな拍手を!」
会場からはあたたかい拍手が送られていました。

軽快なギター音が響き始めます。
ん?この曲は何でしたっけ?
「さあ、飛ばしていこうぜぇ!」
黒沢さんの声と音楽に誘われて、観客は一斉に立ち上がります。

♪流星 〜Jazztronikへの参加曲(05年)
 参加曲ですが知っている人が多いらしく、観客大喜び。
 場内はクラブと化します。
 ワンコーラス目終了後に森上氏が登場、黒沢さんと二人でダンスを披露。
 これがまたカッコよく…。
 ソロライブはひたすら歌うものだと思っていたので、こういう演出が
 なかなか粋に感じられました。
 気持ちよさげに歌っている黒沢さんの様子も印象的でした。
♪Love a flava
 この曲の見せ場はSOYSOULのK-ONさんのラップ。
 しかし今日は来ていないですよね? さあどうする?
 するとハイテナーのラップの声が…。く、黒沢さんがラップしてますっ!
 会場大喜び、大歓声。
 黒沢「気分よかったのでラップまでしちゃったぜぃ!」 観客「いえーい!」
 バックにZOOCOさんもいるものですから、この後も大盛り上がりしたのは言うまでも
 ありません。
♪Groovin'
 この曲も森上氏が大活躍。観客を煽りながら踊り始めます。
 これはもしや、開演前に観客に伝授していた長ーいダンスじゃないですか。
 以下、非常にわかりにくい解説を掲載。
 1.(Everybody)ステップを踏み、四つ目に手を叩く
 2.(踊りだせ)両手を挙げ、左へ右へと一度ずつ揺れる
 3.1と2を繰り返す
 4.(このまま)1に同じ
 5.(離さ)両手を前に出し、内側に向かってギザギザに動かしながら手をクロスさせて止める
 6.(ない)5の逆。外側に向かってギザギザに動かしながら手の位置を元の場所に戻して止める
 7.(君と)両手首を内回しして手のひらを外に向ける(「頂戴」の状態)
 8.(なら)7の逆で、両手首を外回しして手のひらを胸の前に持ってくる
       (バレーボールのトスの手を胸の前に持ってきたような状態)
 9.2と同じ
 …わからなすぎるので無視してください。。。
 歌の途中ではバンドメンバーの紹介が入りました。

「どうですか? みんなでステップを踏むのもいいでしょ?」
シカゴステッパーズという音楽スタイルを取り入れたという「Groovin'」。
手拍子いっぱいのノリノリの曲は多いのですが、聴く人がめいめい軽くステップを踏むような、
こういうスタイルの曲はあまりないのだとか。
「みんなセクシーですよ♪」
そういう黒沢さんの言葉に観客一同歓声、拍手。

さて、黒沢さんが耳の後ろを掻きながら切り出します。
「えー、さっきからバンドメンバーとも言ってたんですけど…。
 『終わりたくなーい!』って」
もう終わり? 観客席からは「えーっ!」とブーイングの嵐。
東京、名古屋、そして大阪。黒沢薫First Tourもこの公演で終わりなのです。
「ほんと、終わりたくないんですよね。でも、始まりがあれば終わりがある」
えーっ! 大阪のファン大ブーイング。
「…始まりがあれば終わりがある」
えーっ!
しまいに「もっとやれー!」という声(ちなみに女性です…)まで上がる始末。
「えー…僕、さっきからずっと耳を掻いてるんですが(笑)
 『一応』始まりがあれば『一応』終わりがある。わかるでしょ?(笑)」
ああ、『一応』なのね。会場からは笑いが漏れていました。

今回ソロでやってきて、新鮮に思った面が多々あったそうです。
ソロでしか経験できない部分、グループでやるときにも使えるんじゃないかと
発見した部分。
「ゴスペラーズはずっと続いていきますけど、たまにはこういう活動もいいなと思いました」
…聴きました? ゴスペラーズは【ずっと】続くそうですよ、皆さん。
メンバーがソロ活動を始めたからグループが解散するんじゃないかとか、そういう心配は
ゴスペラーズに限っては杞憂のようですね。

♪After the Rain
 なるほど、ほぼアルバム曲順にやってきた中でこの曲を飛ばしていたのは、
 ここに持ってきたかったからなんですね。
 サビの歌詞を微妙に間違えていましたが気にしません。
 最後のサビの直前に入る「Fu−」があまりにも切ない。
 いい意味で綺麗にまとまらず、感情が溢れている歌声でした。

『一応』終わってしまいました。バックバンドを残し、黒沢さんが退場します。
最後まで演奏を終えてバンドメンバーも退場。
ステージの照明が落とされます。
『一応』なんですから、再開してくれないと困りますよね?
アンコールを求める手拍子を続けていると、やがてバンドメンバーが戻ってきます。

♪Late-Blooming
 「アンコールありがとう!」
 黒沢さん再登場! 拍手喝采、大歓声。
 黒沢さんは白いジャケットと紫のシャツに着替えていました。
 か、カッコイイ!と観客狂喜乱舞。
 明るい曲調でみんなノリノリ。
 ここまで一人で歌い切り、MCまで一人でやってきたのに歌のクオリティは
 まったく落ちないのですね。
 さすが下積み10年の新人歌手です。
♪Keep It Goin' On 〜三浦大知への提供曲(05年)
 アルバムで聴いたことのないイントロだと思ったら、この曲でしたか。
 歌い出しで気づいた観客は激喜びしていました。
 原曲の疾走感はありませんが、逆にソウルフルで素敵。

歌い終えた黒沢さんに「黒ぽーん!」「カッコイイー!」という歓声が。
とっても嬉しそうに、もっと言ってくれと言わんばかりの黒沢さんにみんなで
「カッコイイー!」
セクシー!という声も飛びます。
「ありがとうございます。嬉しいですね。
 あのね、かっこいいとか、…カッコ悪いって言われて喜ぶ人はいないと思うんだけど(笑)
 そういう、カッコいいとか言われるよりもセクシーって言ってもらったほうが
 嬉しいですね。
 かっこいいって言ったら見た目の話が多いでしょ。
 セクシーは、その人の雰囲気のことですから。嬉しいです」
そう言う黒沢さん、本当に嬉しそうでした。
「アーティスト自らが言うのもどうかと思いましたが(笑)
 アンコールの声をいただいて戻ってきました!」
拍手!

「『Keep It Goin' On』は三浦大知くんに書いた曲です。彼はまだ18歳なんですよね。
 で、彼に『ここはこんな風に歌って』とか言うと、すぐにできちゃうんですね。
 周りが言うことをすぐに吸収できちゃうの。すげえなと思って。
 僕は三浦大知くんみたいな歌い方はできないけれど、労働者っぽい感じは
 出せたかなと思います(笑)」
労働者?? 会場笑。
年齢を重ねることによって出せる深み、という意味であれば、それは充分に
会場に伝わったはずですよ。

最後にもう一度、黒沢さんからバンドメンバー一人一人の紹介がありました。
「これが“黒沢薫バンド”です!」
ゴスペラーズでなく、自分の為に集まってくれたバンドということで黒沢さん自身が
かなり誇りに思っているようでした。
「バンドマスターから駄目出しを食らったりするのも初めてで、新鮮でした(笑)」
バンドメンバーも大笑い。
「ここまで歌ってきて、僕もまだまだ成長できるんだなと思いました。
 まだまだ成長したいと思います。身長も成長したい!(笑)」
せ、せっかく真面目に聴いていたのに…思わず場内爆笑。
「11月に入るとまたグループの活動があります。
 これからもゴスペラーズ、そして黒沢薫をよろしくお願いします」
場内からは大きな拍手が送られました。

♪遠い約束
 最初はアカペラ。
 その後ピアノ伴奏が入り、ツーコーラス目のサビからフルバンド入ります。
 最後の熱唱に観客涙。鳥肌が立ちました。
 聴く人の胸に迫る曲でした。

これで本当に最後です。
バンドメンバーが全員ステージ前方に出てきます。
「ありがとうございましたー!」
これはゴスペラーズと同じ感じですね。
頭を下げる黒沢さん、そしてバンドメンバーの頭上に大きな拍手と歓声が降り注ぎました。
最後までステージに残っていた黒沢さん。
「どうもありがとうー!」
投げキッスを残し、黄色い歓声を受けながら黒沢さんは帰っていきました。

最後の最後まで観客にLOVEを届けてくれた、黒沢薫さんのファーストツアーはこうして
大盛況のうちに幕を閉じたのでした…。